最近、反出生主義についてよく見かけるようになりました。
今日はチャイルドフリーと反出生主義の違いと、
子供を産まない生き方は幸せなのかどうか?についてまとめていきます。
チャイルドフリーと反出生主義の違い
子供を産まないという点では同じことなのですが、概ね以下のような違いがあります。
チャイルドフリーは「子供を持たない生き方を選ぶことにより、自分の人生を豊かにしていく」という考え方。
考え方の中心は、今生きている自分(とパートナー)にあります。
反出生主義は「子供を産まないことにより、子供が不幸になる確率をゼロにする」という考え方。
考え方の中心は、生まれる前の子供です。
子供を産むことに積極的ではない方は、
どちらか片方というわけではなく、両方の考え方が混ざり合っている方も多いようです。
「子供を産まない」人生が選択肢として認められつつある時代
反出生主義については近年ネットでの議論も見られるようになり、
「ある程度の割合で、でもそれなりの人数が薄々思っていたこと」と言えるかもしれません。
少子高齢化の現状などを見ると、表立って言わないだけで思っている人は以前からそれなりにいたのではないか?とも…。
子供を産まない理由はそれぞれですが、
少なくとも若い世代の間では「子供を産まない」派は珍しくなくなってきているようです。
自分の家庭で苦労している方が多いですが、家庭に問題がなくても子供を持つことに疑問を感じている方もいます。
若い世代が生きづらい世の中であり、私が子供の時よりも今のほうが大変そうに見えます。
私が小学生の頃(十数年前)ですら、当時の大人や先生に「生まれた時代が悪かった」と言われたものです。
その当時は意味はよくわかっていなかったのですが…。
挙げたらキリがないので一部になりますが、これから生きていく子どもたちが大変そうなことについて挙げてみます。
環境問題
環境の変化により、昔より暮らしにくくなっています。
まず、大雨などの自然災害が増えました。
以下は2019年のデータですが、2019年までの10年間においても災害は増え続けています。
そして、夏場は異常に暑くなりました。
気象庁のデータですが、30年前との比較でも、確実に気温は上がっています。
現在の環境問題の対策が成功したとしても、少なくとも現在の高温はしばらく続きますし、
実際はさらに高温になる可能性の方が高いです。
環境はこれから過酷になっていく可能性が高いです。
子供の頃からであれば慣れるかもしれませんが…。
少子高齢化問題
仮に少子高齢化が緩和され子供が増えると、国の将来性を前向きに考えやすくなります。
少子高齢化を解決するには、一部が頑張るだけでは足りないので「みんなが産まないといけない」のですが、
一番体の状態的に産みやすいと言われている20代などの私たちの世代がそもそも人数が少なく、
ここから増やすとなると現実的には相当な負担がこの世代にかかってきます。
子供の養育費
※お金があればいいという問題でもないのですが、お金は問題に上がりやすい事項の筆頭だと思いますので取り上げてみます。
子供を大学まで出すのに、学費だけで最低でも1人1000万以上かかります。
これを負担に感じる方は少なくないと思います。
大学に行かせないという選択肢もまだ今のうちはあるかもしれませんが、可能性を狭めてしまうのは事実です。
格差がさらに広がると見込まれる、20年後にそれでいいのかどうか…。
「年齢が若いうちは給料が低い」のは昔からですが、
だからといって「年齢を重ねたら給料が上がる」という保証もなくなっています。
今の日本でお金を持っているのは高齢者と言われていますが、
若い世代にお金が回ってくる制度ができあがっておらず、
このまま高齢者の総意が通りやすい日本で居続ける限り、それに期待するのは現実的ではありません。
(市町村レベルだと手厚い自治体もありますが…)
世の中は個が尊重される時代になってきており「お国の為に産もう」みたいな時代でもないですよね。
みんなが産むということが現実的に今不可能であり、このままだと少子高齢化は加速していく展望なので
中途半端に産んで自分の子供が苦労するくらいなら、やめたほうがいいというのも合理的な考え方かもしれません。
「出生の責任は親にある」ということを意識していない親の多さ
反出生主義を肯定する方の中でよく見られるのが、
「親に『産んでもらって/育ててもらって感謝しろ』と言われるが、こちらから頼んだ覚えはない」
という意見です。
これはもう、綺麗事で論破するのは大変難しく、認めて開き直ったほうが潔いかもしれません。
産む側の理由は、
- 「欲しいから」
- 「自分の老後の為」
- 「好きな人との子供が見たい」
- 「自分の世間体」
- 「なんとなくできた」
など、その大半が自分の幸せの為であり、
子供によっては産み落とされたことを恨むこともある中、
「産み育てたことは無条件に感謝するべき」という一部の親の態度が、
反出生主義の勢力を伸ばす一因にもなっているように見えました。
あくまでも"親の都合で産んでいる"ことを親が念頭に置き続けられるようにするべきです。
生まれる子供が産まれるかどうか選択することはできません。
「産んでやった」「育ててやった」と言いたくなるのも仕方がないくらい親の仕事は大変なのだと思います。
でも、それを子供にぶつけて良いのかどうか…。
子育てが大変なことはネットでいくらでも調べられる時代です。
ただそれでもなお、子供を幸せにするという覚悟がある方については、他人が否定することはできませんし、
子供に対して覚悟を持って、子供の存在を否定せず、穏やかな家庭を築ければ子供が幸せになる確率は上がります。
ただ、社会にも個人にもそれだけの余裕がなくなりつつあるのが実情なのかもしれません。
全人類が反出生になるべきなのか?
近年は「全人類がそうするべき」「人類は緩やかに滅亡していくべき」という考え方も生まれてきています。
ただ、人は多くの場合、自分の人生+αくらいしか想像・把握できていないと思うので、
「産まれてから自分が結婚・出産する時までずっと幸せで、ずっと恵まれ続けていて、そんなこと考えたこともない」人が世の中にはいるということも想定するべきだと思います。
自分の考えも他者の考えも同様に尊重するべきであり
「全人類が半出生を実行するべき」とまで言うのは少々過激ではないかと思います。
同じ理由で「産んで当たり前」「女は産むことが幸せ」と言う人も、強要まですると相手を不快にさせていることもあるので、
少なくとも相手の考えを聞ければベストかなと思います。
ただこれは良かれと思って言っている人が多く、現実的には難しいかもしれませんが…。
反出生主義・チャイルドフリーは幸せなのか?
このふたつは「子供を持たない」という最終結果は同じです。
ただ、今生きている自分の今後を考える上では、生まれた後の不幸に着目しがちな「反出生主義」よりも、
子供がいないという生き方に対してポジティブな「チャイルドフリー」のほうが建設的な意識ではあると思います。
子供の有無での幸せについては、人それぞれではありますが、
女性に対する調査で、子供ありよりも子供なしのほうが幸福度が高いというデータも出ています。
引用:PRESIDENT Online『「子どものいる女性のほうが、幸福度が低い」少子化が加速するシンプルな理由』引用画像
子供がほしいと思わないのであれば、無理に子供を持たなくても、
子供なしで幸せに暮らしている人は多く、結果的に人生への満足度も上がる可能性もあります。
「歳をとってから気が変わる」など言われることもありますが、
なんというか…この問題について考えている方は、かなり長い間考えている真面目な方が多いのではないでしょうか。
人生は選択することが多く、それで後悔するのかしないのかは後にならないとわかりません。
今の最善は結局「自分の考えに自分が逆らわない」ことではないかと思います。
まとめ
今日は反出生主義・チャイルドフリーについてまとめました。
今後、多様性が進んでいく世の中では、
どの考え方が間違っているとかではなく、すべての考え方が尊重されるべきかと思います。
筆者個人的には、子供についてはよく考えます。
現状は幸せですが、ここに至るまで相当苦労した上、
めぐり合わせに恵まれてここまでたどり着けただけと思います。
これまで辛いことのほうが多かったので、生まれなければ…と思ったことも数え切れません(苦笑)
人にできることは限られていると感じています。
同じくらいの苦労をしても報われない可能性もありますし、
出生環境も含め、不確定要素・運の要素も人生にはかなり絡んできます。
自分の努力ではどうにもならないこともたくさんあります。
だからこそ感謝できるようになる、という面もあると思いますが、
それでも、あまりにも苦労したと思うので、敢えて苦労させたくないなと思うのが今の正直なところですね。。
以上です。長くなってしまいましたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。
参考になりましたら幸いです。